(マーケ)「今月は問い合わせが増えました」
(営業)「でも、営業が話せる相手は少ないですね」
あなたの会社でも、こんな会話をしていませんか?
私はマーケ畑なので、正直、めちゃくちゃ腹が立ちます(笑)。「誰に話すかを決めるのは営業の仕事じゃないの?」と。記事を作り、施策を動かし、ようやく届いた問い合わせを「質が悪い」の一言で片づけられたら、言い返したくもなります。
でも、ここで「営業が悪い」と叫んでも、次の問い合わせは救えません。マーケだって、問い合わせ数が増えただけで勝った顔をしていたら同じです。「質が悪い」は便利すぎる言葉です。言った瞬間、誰も問い合わせの原文を読まなくて済んでしまう。
でも、営業側にも現実があります。何を相談したいのか分からない問い合わせに、いきなり商談を申し込むわけにはいかない。既存顧客かもしれないし、すでに別の担当が対応しているかもしれない。「全部に同じように連絡して」と言われても、相手に合う返事は作れません。
以前の私は、これは永遠に答えの出ない部門間の言い合いだと思っていました。けれど、毎回のように出てくる「リードの質が悪い」という言葉。その「質」とは、いったい何なのか。もう感想戦はやめたい。腹を立てるだけで終わらず、今回は本気で向き合ってみます。
支援できる対象と違うのか。相手の問いが分からないのか。営業へ渡った後に担当者が決まっていないのか。三つは同じ「商談にならない」でも、直す場所がまったく違います。
この記事では、直近の問い合わせを5件だけ、マーケティングと営業で一緒に見ます。「誰に、どう返すか」を決め、実際の対応結果を使って基準を直すところまで進めます。大がかりなスコアリングの前に、手元の5件で始められる方法です。
「質が悪い」で会議を終わらせるな
まず、「質が悪い」と言った人を責めるのをやめます。代わりに、その言葉が隠している仕事を暴きます。私が5件を見るときは、次の三つを分けます。
一つ目は対象の違いです。自社が扱えない業務や地域の問い合わせなら、営業へ無理に渡さず、対応できる範囲を丁寧に伝える必要があります。これは集客対象やページの説明を見直す材料です。
二つ目は情報の不足です。たとえば「AIの資料が欲しい」だけでは、営業チームで使いたいのか、社内の基礎学習に使いたいのか分かりません。情報不足を相手の低い関心と同一視せず、資料を案内しながら一問だけ確認します。
三つ目は受け渡しの失敗です。相談内容が具体的でも、担当者や対応期限が決まらなければ連絡は止まります。これは「質」の問題ですらありません。フォームの質問を増やしても解決しません。営業側の受領と初回対応を確かめます。
HubSpotの公式資料でも、マーケティングが営業へ渡す段階と、営業が潜在顧客と判断する段階は分けて説明されています。また、リードスコアには企業との適合と行動による関心という異なる軸があります。ただし、自社の誰が何をもって判断するかは自社で決める必要があります。この記事の5件確認は、その判断を具体化するためのBREW UPの提案です。1
感想戦の前に、5件を机に出す
直近の問い合わせから5件を選びます。「商談になりそうなもの」だけを選んだら、この作業は茶番です。資料希望、具体的な相談、内容が曖昧なものを混ぜてください。重複した同一企業の問い合わせは、何を一件と数えるかを揃えます。企業が確認できない場合は「未確認」と残します。
次に、連絡停止の意思表示、既存の対応中案件、顧客情報の利用条件を確認します。対応しないと後で対応するは違います。停止依頼がある相手は優先順位の表に入れず、社内の停止管理に従います。担当者がすでに会話している企業へ別の営業が新規連絡しないよう、履歴も見ます。
5件を選んだら、各件の問い合わせ原文を読める人と、実際に返す人を同席させます。大人数の会議にする必要はありません。マーケティングと営業が同じ一件を見て、違う解釈が出る場所を探すのが目的です。「何となく質が悪い」は、ここではいったん禁止。 原文のどこを見て、そう判断したのかを言葉にします。
点数を付ける前に、「何を返すか」を決める
ここでいきなりスコアを作りたくなります。分かります。数字にすれば会議が静かになるから。でも、点数だけ決まって返信が決まらないなら、きれいな表が一枚増えるだけです。先に答えるのは、次の三つです。
① 私たちが答えられる問いか。 自社が支援できる仕事か、記事や資料で答えられる問いかを見ます。まだ判断できないなら「対象外」にせず、何を確認すれば分かるかを書きます。
② 相手は今、何を知りたいのか。 「相談したい」「比較したい」「まず学びたい」は、同じ接点でも違う段階です。ダウンロード回数や企業規模だけで決めず、問い合わせ文と直近のやり取りを読みます。相手の意図が分からないときは、質問を一つに絞ります。
③ 誰が、いつ、何を返すか。 対応の責任者と期限を明記します。今すぐ面談を提案するのか、記事や資料を返すのか、まず困る場面を尋ねるのか。返す内容まで決めて初めて「優先」が仕事になります。
今は点数を付けません。最初の目的は、5件それぞれに理由のある次の一手を置くことです。数値スコアを使うなら、実際の対応結果を見て条件を磨いてからでも遅くありません。
架空の5件で、逃げずに決める
以下は記入方法を示す架空例です。実際の問い合わせや商談成果ではありません。
| 件 | 問い合わせから分かること | まだ分からないこと | 最初に返すもの |
|---|---|---|---|
| A | 「来月から商談後の提案準備を見直したい」 | どの工程が止まるか | 困る場面を一問聞き、必要なら相談を案内 |
| B | 「AIエージェントの基礎を知りたい」 | 仕事での用途 | 基礎記事を案内し、使いたい業務を尋ねる |
| C | 「営業を改善したい」 | 誰のどの仕事か | 一番止まる場面を一問尋ねる |
| D | 既存顧客が新しい資料を請求 | 担当者が把握しているか | 既存担当へ共有し、重複連絡を防ぐ |
| E | 以前に連絡停止を依頼 | 追加連絡の可否 | 新たに送らず、停止管理を確認 |
Aを先に確認しても、BやCを「価値がない」とは扱いません。ここを雑にすると、「商談をすぐ取れない人=質が悪い人」という乱暴な分類になります。Bには学ぶための答えが必要です。Cには課題を言葉にするための一問が必要です。DとEは優先順位の低さではなく、連絡の扱いそのものが違う案件です。
次に、実際の担当と期限を置きます。架空の運用例なら、Aは営業担当が翌営業日までに困る工程を確認、Bはマーケ担当が当日中に基礎記事を案内、Cはマーケ担当が翌営業日までに一問だけ質問します。Dは既存担当へ当日中に共有し、Eは管理担当が停止状態を確認して外部へは送りません。この期限は説明用であり、すべての企業に適した基準ではありません。自社の対応体制と、相手が希望した時期で決めてください。
返信文も、相手の段階に合わせます。たとえばBへは「資料をご覧いただきありがとうございます。まず全体像が分かる記事をお送りします。もし仕事で試す場面が決まっていれば、どの業務か一つ教えてください」。Cへは「営業のどの場面で、今一番手が止まっていますか。商談前、商談後、提案準備など、近いものを一つ教えていただければ、合う情報をお返しします」。ここで面談を押し込む必要はありません。
では、返した後をどう読むのでしょうか。たとえば架空の追跡結果として、Aから「資料探しと上長確認の間で止まる」と返答があれば、次の会話でその工程を確かめます。Bに記事を届けたものの返答がなければ、「関心なし」ではなく反応未確認です。Cから「営業の育成が課題」と返ってきたら、最初に想定した提案準備の話へ押し込まず、育成の問いへ案内を変えます。Dは既存担当との会話へ統合し、Eには新たに送らなかったことを確認します。この架空例は、どの案件が受注するかを予測するためではなく、次の仕事を間違えずに決めるためのものです。
「送った」を成果にしない
対応をしたら、5件それぞれに返信した日、担当、相手の反応、次に分かったことを残します。「メールを送った」は実行の記録です。ここで「対応済み」のハンコを押して気持ちよくなるのは、まだ早い。「相手と話せた」「相談の目的が明確になった」は相手の反応です。「面談を実施した」「体験を開始した」「有償契約した」は、さらに別の段階です。これらを一つの「商談化」にまとめないでください。
結果を見る時期は、返信の確認と、長い検討の結果で分けます。たとえば翌営業日に送信・受領・担当を確認し、後日、相手から得た答えや面談実施を記録します。未返信や未観測を勝手に「関心なし」「成果ゼロ」にしません。観測できなかった理由も残します。
ここで出るのは「施策の勝ち負け」ではなく、次の改善点です。5件で成約率を推定することはできません。数字を盛って成功談にするには、5件は少なすぎます。ただ、どこで仕事が止まったかは見つけられます。
| 見えたこと | 先に確かめること | 一つ目の改善 |
|---|---|---|
| 内容が具体的なのに連絡されない | 担当・期限・受領は決まったか | 営業への受け渡し表を直す |
| 資料希望に面談案内だけを返している | 相手がまだ知りたい基礎は何か | 対応する記事や資料を先に返す |
| 対象外の相談が続く | ページは誰向けか伝わるか | 対象業務と対象外を入口で明確にする |
| 「内容不明」が多い | 既存文面や返信で一問を聞けるか | 必要な一問だけ追加する |
| 最初の予想と実際の相談が違う | どの根拠で予想したか | 判断条件を一つ修正する |
フォームの項目を一気に増やす前に、今ある記録を使い切れているか見てください。項目を増やせば相手の入力負担も増えます。一度に複数の条件を変えると、何が役立ったかも分からなくなります。5件を見て、一つ変え、次の5件でも同じ欄を確認する。 この小さな繰り返しが、分類を実務で使えるものにします。
今日、5件だけ見てほしい
表計算や共有ドキュメントに、次の一行をコピーしてください。
会社・元記録への参照/停止・既存担当の確認/問い合わせの目的/分かった事実/未確認の問い/今返すもの/担当/期限/実際の返信日/相手の反応/次に分かったこと/次回直す基準
個人情報を社内で共有する範囲は、自社のルールに従います。シートには必要な人が元記録へ戻れる参照先を置き、相手の発言を憶測で書き換えません。5件を埋め終えたら、マーケティングと営業で「この人に次に何を返すか」を声に出して確認します。そこで答えが違う欄が、最初に直すべき運用です。
最後に:「質」の正体を見にいこう
「リードの質が悪い」と言いたくなる日もあります。私も、腹が立った勢いで「営業が決めてよ」と返したくなる。でも、その応酬で一番置き去りになるのは、問い合わせた人です。
「質」は、誰かを責めるための言葉ではなく、次に何を返すべきかを決めるための問いに変えたい。 まず5件を、その人が書いた言葉から読み直してください。対象の違いなのか、まだ聞けていない問いがあるのか、社内の受け渡しで止まったのか。誰に、どう返すかが決まり、返した結果から一つ改善できたら、この記事の仕事は完了です。
この5件確認は、まず自社だけで試せます。それでも「どこで判断が割れるかは分かった。けれど、誰が何を変えるかでまた止まる」なら、株式会社BREW UPのRevOps支援で、マーケティングから営業までの運用をどう整えるか紹介しています。相談するかどうかを決める前に、まず5件のシートを埋めてみてください。
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参考資料
※本文の会議と5件の問い合わせは説明用の架空例です。BREW UPまたは顧客の実績・効果を示すものではありません。
HubSpot公式「ライフサイクルステージの利用」は、マーケティングが営業へ渡すMQLと、営業が潜在顧客と判断するSQLを区別している。HubSpot公式「リードスコアリングの概要」は、適合と行動による関心を別のスコアとして説明している。製品機能の紹介であり、この記事の5件確認や返信方法を実証する資料ではない。確認日:2026-10-05。↩︎





